輪島市三井集落にある伝統的な茅葺屋根の家屋を拠点に、地域全体をホテルに見立てた「里山まるごとホテル」を運営しています。地元食材を使った料理を提供する食事処や、築150年の民家をリノベーションした一棟貸しの宿、里山暮らし体験など、暮らすように滞在することをコンセプトに「里山暮らしの魅力」を伝えることを生業としています。この生業の先には、次の世代に「じいじ・ばあばの暮らしの知恵」や「豊かな里山の暮らし」を引き継いでいくことを見据えており、そのためにサービスを通して地域の内と外とを繋ぐ役割を担っています。
株式会社百笑の暮らし
代表取締役 山本 亮
東京都出身。大学時代にゼミ活動で輪島市三井集落を訪れた際、里山暮らしに魅せられて移住を決意。東京のコンサルタント会社を経て、2015年に移住しました。輪島市の地域おこし協力隊として3年間の任期を務めた後、結婚を機に、同じく東京から妻・晶子さんも移住、夫婦での里山暮らしをスタートしました。
同時に、株式会社百笑の暮らしを設立し、「訪れた人が里山暮らしの魅力を楽しめる場所をつくりたい」との想いから、里山まるごとホテルを開業しました。
TANOMOSHIへの参画背景
2017年の開業当初から運営する飲食事業に加えて、2020年には一棟貸しの宿をオープン。事業拡大に伴って、山本さんが宿事業や経営に専従するため、2021年春に2名のスタッフ(中途採用:飲食マネージャー、新卒採用:見習い)を雇用しますが、チーム戦が求められる中、新卒人材の育成ノウハウがないことや、経営者のコミュニケーションに対するスタッフの不満など問題が山積していました。
また、山本さん自身の経営者としてのステップアップ(プレイヤーからの脱却)も課題となっていたことから、TANOMOSHIを通して「1.社内人材育成/コミュニケーション強化」 「2.経営者としてのステップアップ」の2点に取り組みました。
TANOMOSHIで取り組んだこと
1.社内人材育成/組織内コミュニケーション強化
新卒スタッフの育成には、御祓川が提供する定着サポートを受けて、成長のための目標設定・振り返りを目的とする定期セッションや日々の振り返りツールの導入を行ったほか、御祓川スタッフ(外部)による定期面談の実施を通して、新卒スタッフの不安や成長を細かくキャッチできる仕組みを整備しました。
また、山本さんからスタッフに対するコミュニケーション面での課題については、月2回の経営者コーチングを導入。行動によって得られる学びを通して、スタッフとの関係性の結び直しやオープンマインドで話し合える社内風土づくりに取り組み、社員参画型で事業計画や社内改善を考える組織へと変化しつつあります。
2.経営者としてのステップアップ
新型コロナウイルス禍という特殊な経営環境下で、飲食事業・宿泊事業それぞれの運営についてスピーディーな経営判断が求められる中、TANOMOSHIのコア活動である、毎月全メンバーが集まる定例会議で「まな板の鯉セッション」を実施しました。本セッションでは、経営状況を公開し、TANOMOSHIに参画する経営者たちからのアドバイスや壁打ちをもとに、経営者としての判断軸の確立や経営方針の磨き上げに取り組んだことで、山本さんご自身の経営スタンスが形成されつつあります。
山本 亮さんが考えるTANOMOSHIとは
「経営者の学びや開示・連携がどんどんできる場」
参画メンバー同士の信頼と守秘義務契約の下で赤裸々な経営状況を開示し、1事業者の経営課題・経営者の悩みについて、TANOMOSHIコミュニティ全体で本気で考える場となりました。山本さんにとっては、TANOMOSHIを通して同世代や先輩経営者に気軽に相談ができる関係性が構築でき、TANOMOSHIコミュニティ全体としても、継続的に山本さんの成長を支えていこうとする意識が醸成されています。
また、山本さんの今後のTANOMOSHIへの関わり方については、継続的に経営を学ぶ場として参画し、将来的に、興能信用金庫や御祓川が担っている”コーディネート業(中間支援)”の部分で、当社や山本さんが担える部分も模索していきたいという意向です。
コーディネーター
興能信用金庫
水鶏口 武宏
興能信用金庫コーディネーターの中で唯一、営業店からの参画。頻繁に事業者の元を訪れるなど、営業担当ならではの細やかな事業者フォローを強みとする膝詰めの伴走支援を行いました。具体の伴走内容として、飲食事業における「損益分岐点の提示」や「客単価増加策の提案」、宿泊事業においては「2棟目取得の見送り判断」を支援するなど、金融機関の専門性を活かした支援を実施しました。
株式会社御祓川
主担当 圓山晃歩
人材コーディネートの強みから、新卒スタッフに対する定着サポート(人材育成の仕組みの導入)を実施しました。また、経営者コーチングの実施により、山本さんご自身の価値観や願いの深堀りを行い、目指す理想像に向けて、日々の生活や活動の中で取り組む「小さなトライ(行動変化)」の積み上げから、学びを得るプロセスを支援しました。
※コーチング:コーチからの問いの投げかけを中心とした対話を通して、クライアント自身の内的対話を促すことを目的とした対話セッション。