[第1期レビュー] 数馬酒造株式会社

1869年創業、代表銘柄「竹葉」を製造する能登町の老舗酒蔵。
「能登を醸す」を経営理念に、契約栽培農家と連携し地域の耕作放棄地を活用した酒米作りや、酒造りの道具に地元素材を使用するなど、能登にこだわったものづくりを展開しています。持続可能な能登の未来を創るため、能登の美しい自然と文化、そして産業を次世代に繋ぐことを使命としており、過去のやり方を踏襲することに囚われず、柔軟に時世に寄り添いながら、常に新しい取り組みや経営改革を実践し続けている企業です。

数馬酒造株式会社
代表取締役    數馬 嘉一郎


能登町出身。東京の大学を卒業後、コンサルティング会社とリフォーム会社で営業職を2年間経験した後にUターン。当時、24歳で業界最年少の代表取締役として数馬酒造を継承し、5代目蔵元となりました。「経営」が大好き&夢中になれる強みがあり、TANOMOSHIにおいても、同じく1期ラボパートナーの経営講座や壁打ちを引き受けるなど活躍しました。
なお、今回のTANOMOSHIには、法人ではなく個人として参画しています。

TANOMOSHIへの参画背景

日本酒や醤油、リキュールを醸造及び販売している会社のため、自社の強みを活かしてものを動かさない事業で収入源を確保していくことを今後の課題として設定、同時に「社員が副業や社内起業をする時代になった際にいち早く対応できる企業でありたい」という経営者としての想いもありました。これは、自社の資源から新しいビジネスが起こっていくこと、また、それらを通して社員たちが経営感覚を身に着けていくことで、よりしなやかで強度のある魅力的な企業になれるのではないかという仮説に基づく想いです。
また、TANOMOSHI期間中に、数馬酒造に就職を希望する学生からの問い合わせがあったことをきっかけに、今後の組織づくりに向けた採用の在り方を検討する機会にも恵まれました。そこで今回のTANOMOSHIでは、「1.新規事業の立案・検証」「2.2週間のオンラインインターンの受け入れ」に挑戦しました。

TANOMOSHIで取り組んだこと

1.新規事業の立案・検証

自分の今までの経営の知識/経験を活かした新規事業の立ち上げに挑戦しました。新規事業の足がかりとなったのは、地域の持続性を高めることに関心が高い數馬さんが持つ「しっかりした経営者が多い地域はなくならない」という仮説。自身が持つ経営ノウハウを、コンサルティングという手法を通じて、地域事業者の経営力を高めるサービスの検証を行いました。TANOMOSHIでは、「事業承継」に挑戦したザ・アグラリアンテーブル・山口さんの経営力アップや壁打ちを行う連続講座「数馬塾」を実施していたほか、御祓川の経営コンサルニーズから、代表森山との定期セッションも実施していました。また、自主的に他のラボパートナーの経営課題に対する事業ブラッシュアップ案を作成し提案を行う「勝手にコンサル」が名物となり、自社とは全く異なる業界における経営課題を取り扱うことで、自身の成長の場にもなりました。事業検証の成果としては、プログラム開始3ヶ月で事業を立ち上げ、その後半年間の間に受注ベースで粗利131万円を達成。新規事業開発に伴う自身の膨大なインプットは、パワーポイント150枚にも及ぶ資料となっています。

2.オンラインのみのインターン生(大学生)の受け入れ

問い合わせのあった数馬酒造への就職を希望する大学生(県内出身)を対象に、 お互いを知ることを目的とした、2週間のオンラインインターンを実施しました。 受入にあたっては、インターンコーディネートや採用支援を強みとする御祓川のサポートを活用し、新卒採用のための社内フォロー体制構築や新卒人材の育成における課題認識のためのシミュレーション機会となりました。インターンでは、学生に「20代をターゲットとした販売促進のための企画立案」を行ってもらい、若い世代における飲酒文化の現状把握や販促アイデアを考察しました。

數馬嘉一郎さんが考えるTANOMOSHIとは

「想定顧客や多様なステークホルダーと壁打ちをしながらサービスを組み立てていくプロセス

數馬さんが取り組んだ新規事業「コンサルティングサービス」の開発過程では、1期ラボパートナーや御祓川など、バックグラウンドが異なる多様なステークホルダーが想定顧客となり、サービスをつくるプロセスを共有しました。各事業者の事業特性や経営課題、経営者のタイプに応じて、「連続講座形式」や「定期セッション型」「単発セッション型」等、複数のサービス提供方法を検証できたことで、新規事業の可能性の幅を広げることができました。
また、「勝手にコンサル」と呼ばれた、數馬さんの経営への探究心から発動される各事業者への提案は、新規サービス導入のきっかけになった一方で、各参画事業者が自社の強みやリソースを自主的にコミュニティに還元し合うことを目指すTANOMOSHIにおいて、理想的な関わり方を体現する土壌となっていました。1期修了後のTANOMOSHIへの関わり方としては、事務局メンバーとして新たに参画することが決まり、運営側としての活動をはじめています。


コーディネーター

興能信用金庫
加賀 裕


數馬さんの豊富な経営に関する知識・経験を活かして、興能信用金庫が主催する地域事業者向け講話・研修の機会の提供/セッティングを行ったほか、新規事業内容のブラッシュアップを行いました。また、担当事業者の伴走にとどまらず、TANOMOSHIの運用や在り方についても積極的に意見提案を行い貢献しました。

森山 明能
株式会社御祓川
主担当 森山 明能


「数馬塾」や「コンサルセッション」を活用した事業者における、その後の「理解整理・進捗管理」など、數馬さんが自社の経営の片手間では提供できない「伴走フォロー機能」を、御祓川スタッフが引き受けました。それにより、サービスの質・効果を高める機能が追加され、各々が持つ強みを掛け合わせた協働サービスが組成されました。
また、2週間のオンラインインターン受入においては、御祓川がコーディネート機関として介在し、プロジェクト設計やインターン期間中の定期MTGのファシリテーションなどを実施しました。インターン修了後も、数馬酒造で求人募集を行う上で求人票フォーマット提供や相談に対する助言などを行いました。